【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀


春香さんは、もう笑いが止まらないみたいで


「隼…あんただったんだ。あーもうダメ笑いが止まらない。一度だって、結衣はここで振り返ったりしたことないのよ。どんなに後ろが騒がしくても話しかけられても一度もよ。それがあんたの声で振り返ったってどうよ」



涙を流して笑っている春香さんをどうしようかと思いつつも


本当に自分でもなぜ振り返ったのかがわからない。



「ほんと…なんで振り返ったんだろう…」


「酒屋の前でビール飲んだときもそう言ってたよね」


「うん…。あれもなんでだかわからない」


それが両方ともこの隼という人が関わっていたということが


春香さんの笑いを誘っているらしい。



涙を流していつまでもわらっている春香さんを肘でつついたけれど


「だってぇ…この無愛想男の隼だよ。笑いが止まらないよ」


大和さんの表情もなんだか少し険しくて


振り返ってしまったことに困惑したけれど何となく心が弾むような感覚もあった。
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