【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀


ふたつの心地良いバリトンに酔いしれていると


深みのあるバリトンが笑いを含んだ声色で


「隼、それよりあれだ。天井の印」


「響さんやっぱりわかっていらっしゃったんじゃないですか。」


思わず顔が赤くなったのが自分でもわかった。



「あははは。結衣ちゃんがすまして歩いてるのに顔が上向いて何か探してるんだよ。その後ろ姿が可愛くてな」


「梅野だ。部屋から玄関と食堂までを色分けしてくれてた」


「せっかくバレないように上の方につけてくれたのに、私が失敗しました」


「いや、その姿が可愛いんだよ。隼は見たか?」


「あははは。見たよ。思わず吹いた」


「あの印は、私にとっては神の印なんですから」


「そうだな。良かったな」


「梅野さんも迷ってたんですって。だからすぐ曲がるときは短いしたくさん歩くときはちょっと長いんです。すごいでしょ」


「あぁ…あはは。結衣ちゃんがいると本当に楽しい」


響さんが私の説明を聞いて、いつまでもいつまでも笑い続ける。


「もしかして、笑われてるの?」


「いいや、可愛いんだよ。可愛くて仕方ないんだからいわせておけ」


響さんはまたグイッと飲むからビールをつぐと


「今日は格別うまい」って喜んだ。



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