【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
「じゃあ始めましょうかい」
田口さんと林さんのまくった腕から刺青が見えてちょっとドキッとした。
それがわかったのか「すいません」って言われたけど
「初めて見たからです。ごめんなさい。もう大丈夫。頑張りましょう」
笑い返すと作業が始まった。
林さんは、どんどん洗ってどんどん私のところへ投げ込む。
だから私もどんどん洗ってどんどん伏せる。
「結衣さん、次茶碗になりますよ」
「はい」私は下の方にのこっているお皿を左に寄せた。
林さんは右側にいれていってくれる。
田口さんも手早くふいて棚の中へどんどん片付ける。
視界の中に刺青が見えてくるけど気にはしていられない。
「結衣さん、小皿いきます」
「OKです」
「楽しいですね」
「そうっすか?」
「楽しいですよ。あははは」
「お箸いきますよ。手、きをつけてくださいね」
「了解です」
「息が合ってるな」
後ろから渡辺さんが笑い
「スペシャルトリオですよね」私も大笑いした。
「結衣さん拭くのに取りやすいように交互にずらしておいてくれるんですよ」
田口さんが汗をふきながら言ってくれて
私も汗を拭きながら
「林さんが声かけてくださるから、食器がごっちゃにならなくて洗いやすかったです。ありがとうございました」
「いやぁ声かけて返事がくるって気持ちいいっすね」
林さんもやっぱり汗を拭っていた。