【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
「渡辺さん他にもうないですか?ゴミ捨てとか」
「結衣さん、さすがにごみは勘弁してくだせぇ」
「自分の家ではやってたんですよ」
「量も多いから重いんですよ」
「なるほど。では、朝はお手伝いはダメ?」
「朝は若の支度を手伝ってさしあげてください」
「隼は子どもじゃないから自分でしますよ」
私だけじゃなく隼まで子ども扱いなんだって可笑しくなったけど
「あはは結衣さん、それでも若が喜ぶから手伝ってさしあげてください」
「わかりました」笑いを堪えて返事をした。
「夜は?私、1人の時はすることがないんです。料理ならここほど美味しくは出来ないですけど野菜の皮むきとか切ったりとかできますよ」
由香里さんも忙しくしているので1人の時間も多い。
私1人じっと部屋の中にいるのは退屈で仕方ない。
「では、人手が欲しいときにお声かけしやす」
「はい。お待ちしてます」
「さぁ。若が待ってるからお部屋へ御戻りください」
「え?部屋別々ですよ」
「あはは。それでもです」
「わかりました。渡辺さん、林さん、田口さんありがとうございました。おやすみなさい」
「結衣さんお疲れさまでした。おやすみなさい」
挨拶をして食堂を出ると充実感で嬉しくなった。初めてみた刺青には正直びっくりしたけれど、刺青があっても田口さんであり林さんに変わりがない。
ここは極道の世界なんだなって少し思った。