【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
だけど私のスマホが鳴り
「結衣ちゃ~ん。盛りのついた猿の餌食で動けないんでしょ?ご飯もっていってあげるからね」なんていう由香里さんの話に玉砕してしまった。
「隼のバカ」
「大丈夫だ。お袋もしょっちゅう猿の餌食だ」
そう言って吹き出す隼に私は猿?と想像し真っ赤になった。
「あのじじぃ…ってお袋が良くぼやいてる」
そんな会話をする親子は何なんだろう。
でも具体的に説明するんじゃなく姿を見てあぁ…って感じなんだろうなということはわかった。
それにしても響さんすごい…。
少しするとノックがして由香里さんの声がした。
「すみません。どうぞ」
ドアが開いた瞬間、私の顔は真っ赤だったと思う。
こういう時にどんな顔をすればいいのか私にはわからない。
私は布団で顔を隠した。
隼は横で起き上がると由香里さんからトレイを受け取っていて
「ごめんね。このバカ猿はどっかに縄で吊るしあげておくからね。夜は鍵かけて寝なさいね」
由香里さんは笑いながら隼の頭をバチンと叩き
「このバカ猿!ゆっくり休ませてあげなさいよ。壊れちゃうわよ」
「わかってる」不機嫌な隼の声も聞こえた。