【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
十分過ぎるぐらい長湯をしたのに隼の部屋をノックしても返事がなく
私はまた自分の部屋へ戻る。
危険な事じゃないといいな…
ベッドに寝転がりながらそんな事を思っていた。
うとうととして瞼が閉じそうになった時
隼の声がした。
「結衣、開けるぞ」
慌てて部屋に入ってくると
寝ころがっていた私を起こし
「結衣、いいか、親父やお袋、それから伯父貴と姐さんに騙されるな。逃げるんだぞ。絶対に捕まるな。わかったな」
「え?何?」
「いいか、俺が迎えに行くまで絶対に逃げきれよ。お前を助けてくれる仲間を信じろよ」
そう言うと私を部屋の外へ連れ出し
「まて…よし左だ。結衣そのまま走って逃げろ。絶対捕まるな」
隼に言われ何が何だかわからないまま走りだした。
すぐ近くから由香里さんの声がする。
佐和子さんの声も聞こえ
「結衣ちゃ~んどこ?」
「結衣ちゃんお茶しましょう」
そんな声で立ち止まった。
そしたら2人が「いた。あそこ」って走りだすから
私はわけもわからず走って逃げた。
追いかけられたら逃げたくなるもんだ。