【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
「結衣ちゃーん」
響さんの声もする。
「結衣ちゃんこっちこっちこっちおいで」貴裕さんの声だ。
私はどっちから聞こえてくるのか良くわからないけど必死に逃げた。
「結衣ちゃんいた。そっち行ったぞ」響さんのバリトンが響く。
「え?何?なんなの?」わからないまま必死に走った。
司の姿が見え「司、何なの?助けて」って立ち止まると
「結衣、ダメだ頑張って逃げろ。絶対捕まるな。来たぞ走れ」
あれほど何があっても守ってやるって言ってたのにあっさり見捨てられた。
無我夢中で家の中を走り抜ける。
もうどこにいるのかもまったくわからない。
見たこともないような場所だ。