【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀


「結衣さんこっち」


襖があいて 塩沢さんがいた。


「はぁはぁはぁ。疲れてきやしたね。でもまだですよ。諦めたら負けやすよ。絶対に逃げ切ってくだせぇ。必ず守りやす。 合図したらそこから庭です。すぐのとこからまた呼んでくれますぜ」


塩沢さんも目を閉じ耳を澄ませてから。 


「さぁ結衣さん行って」


「はい」


私はわけがわからないまま塩沢さんの言葉を信じ庭へ出た。


「結衣さんここ」


ガラスがあいて 北川さんがいた。


「はぁはぁ はぁ」


「苦しいですね。でも頑張ってくだせぇよ。結衣さんを守りますから信じて逃げ切ってくだせぇ。いいですか次はここを出たら右ですぜ」


同じように耳を澄ますと 


「さぁ行って!」


私は、わけがわからないまま 右へ行ったり左へ行ったり


呼んでくれた組員さんたちの指示の通りに家の中を走りまわった。


もういったい何人の指示を聞いているのかせわからない。


何度も三浦さんに会うから同じ場所をまわっているのかも知れない。



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