【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
「私のお部屋にどうぞって言ってもダメだっていうし組員さんの部屋もダメだっていうし、たくさん部屋があってもどこ使っていいのかわからないしみんなも遠慮するから、外で御茶飲んだりしてさ、寒くなってきたからどうしようかと思って三浦さんに相談したら、食堂はどうですか?って」
「クッ…あぁ」
「だから最近は暇になると食堂へ行くの。そしたら代わる代わる誰か来てくれるし、御茶も入れてあげられるし、お野菜むきながらも話しが出来るし一石二鳥どころじゃないの。やっぱり三浦さんはすごいよ」
「そういう事だったんだ」
だけど三浦さんの凄いのはそれだけじゃない。
三浦さんの凄さを隼に自慢したくなった。
「でね、三浦さんは、もっとすごいの」
「なに?」
「お買い物できないから御茶菓子がないじゃない」
「あははは。そうだな」
「せっかく来てくれたのにないわけで三浦さんにお願いしようかなって思ったら三浦さんがそれならみんなのとこにいっぱいあるって教えてくれたのね」
「あぁ」
「だけど、ただでもらうの悪いじゃない。何かするって言っても断られるしね。また困ってたら三浦さんが、御茶処結衣って食堂に籠おいてくれてさ。お代はお菓子って書いてあるの。もう笑った笑った」
「それは知らなかったな」
「でしょ。開店時間は昼間だもの。みんなお菓子入れてくれるからいっぱいで、渡辺さんが棚をひとつ貸してくれた。すごい繁盛してるの。前田さんセレブみたいだね~っていうぐらいいっぱいくれるの」
「あはははは。腹痛い。あはははは」
「だから内緒だけどたまに由香里さんに横流ししてた」
「あはははは」
「今日ウェハースの話されたからドキッとかしたよ」
今日はいいのかって隼が聞いてきたけど
隼の車があるときには、開店しないってみんなわかりきってて
だけど隼も来てみたいんだなって思った。
「今度車をどこかに停めてきたら来れるよ」笑いながら言うと
「そうだな」って涙流して笑うからそういうひとつひとつの事が幸せなんだと思った。