【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
今日もいつものように由香里さんの家へ向かい
花を活け終わると
「花があるってほんといいわよね」楽しそうな由香里さん。
霧吹きや水足しもマメにされているので本当にお花がスキな方だ。
「お茶にしましょう」いつもの声とともに活けた花を見ながらのお茶の時間となる。
お茶を運んでこられる方も男性で
秘書の方なのかもしれない。
もしかするとCLUB AILESの他にもいくつか事業展開されているのかもしれないが、由香里さんから話されること以外はあまり立ち入らないように気をつけている。
「今日ね…すっごい美味しいケーキがもう届くから待っててね」
子どもみたいな笑顔の由香里さんに思わず微笑んでしまい
「いつもごちそうになるので、次回は私がお持ちしますね」
「いいの。いいの。何にしようか考えるのが楽しみなんだから奪わないで」
慌てて言うその姿も好き嫌いがはっきりしていて気難しいと言われている人だとはとても思えない。
和やかな雰囲気でコーヒーに口をつけていると
「龍崎様がお見えになりました」襖の向こうから声がした。
その声のすぐあとでガラッと襖があき
「こんにちは」顔を出したのは
「あ…佐和子さん」私が知っているお顔だった。
龍崎佐和子さん…。
こちらも、お花の入れ替えに通わせていただいているお宅だ。
由香里さんの家に通うようになって暫くした頃、やはり指名をいただいたお客様だった。