【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
「ちょ…ちょっとまじでやめて。お願いだからおろして」
「暴れるな。落ちるぞ」
抱き上げている手を緩めるからグラッとして落ちそうになる。
「キャッ」
「おとなしくしてて」
「最悪…」
呟いたあと早くVIPROOMへ着くことを願った。
VIPROOMに着いてソファーの上におろされると
「つーぴょん…まじで…私殺されちゃうよ。静かに飲みたいだけなんだから」
膨れた顔で睨んだけれど
「ここに入れば静かじゃん」司さんはまったくもって涼しい顔。
「ここに入ると余計に視線が刺さりまくって痛いのよ」
抗議をしたら
「あ…」と言って何かを思い出したように立ちあがった。
ガラス張りの壁の際へ行くとスイッチを押したようで
少しするとそのガラスが曇りガラスになった。
「な…なにこれ」
「すげーよな。すっかりこの存在忘れてた」
私の驚く顔を見ながら楽しそうに笑っている。
こうなると外からの視線が強くなるのかもしれないが直接感じることはない。
だから少しだけホッとした。