【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
SCENE 3
今日も仕事が終わり、BRILLIAへ来た。
春香さんにはメールで伝えたけれど
暫く来るのをやめようと思っていた。
気にするなと言っていたけれど、気分良くは飲めない。
いつものようにカウンターに座り、グラスにそそがれたビールと
大和さんのテノールボイスをつまみに春香さんと出かける話しをしていた。
それにしても春香さんが一緒じゃない時はひどい言われようだ。
まわりをあまり気にすることがない私が気になるぐらいだから相当だ。
隼や司が隣に座っていないのに言われている。
カウンターで大和さんと2人の世界で飲んでいたときは本当に楽しかったのに…。
「何あの女」とか「ブスじゃん」とか「チビじゃん」
「目ざわり」なんてことをこれみよがしに言われるのが普通になった。
これで楽しくお酒が飲めるわけがない。
それでも、暫くこうして大和さんと飲めないと思うと淋しさもあり
大和さんもあまりに酷いと声の方へ視線を送り制止してくれる。
だから、愚痴ることもなく注がれたビールを口にした。