交換日記。~また会おうね。~
まるで私が此処にいることを実感するかのように強く、強く、痛みを感じるくらいに。
でも、心の方が痛かった。
悠の気持ちが手の先から伝わってくるようで。
「触れられるんだな。」
「うん、夢だからね。」
夢……、でもこの悠の温もりは夢なんかじゃないんだよね。
ずっと、こうして一緒にいられたらいいのに。
教室の窓の外に備え付けられているベランダを見れば、嫌でも現実が見える。
だから悠は頑なに外を見ないようにしている、
そんな気がしたんだ。
「なぁ…何で、オレの目の前に現れたの?」
「……え?…悠に逢いたかったから、だよ。」
「…そう。」
悠は、私の手をそっと離した。
私の顔がそれだけではないって物語っていることに気づいたのかもしれない。
悠は私のことに関しては、鋭かったもんね。
悠に覆われていた手は、温かさを徐々になくし元通りの冷たさに戻ってしまった。
それを少し寂しく感じながらも、私はあるものを両手で持ち、悠に見せるように近づけた。
「ほら、これ懐かしいね。交換ノート!まだ持っていてくれたんだ。」
私がパラパラ開くと、そこには半年分のやり取りが綴られていた。
ところどころ紙に涙の滲んだ跡があることに気づかないフリをして悠に声をかけると右頬をポリポリと人差し指でかきながら、
「当然。オレ、たまに見返してるんだ。」
と私に目を向け、ほんの少しだけ口の端を持ち上げた。