交換日記。~また会おうね。~
嘘つき、そんな下手くそな笑み見せたって誤魔化されないよ。
たまになんて嘘、本当はいつも見ているんでしょ?
悠が右頬をかくのは、決まって何か後ろめたいことがあったときや嘘をついているときの癖だから。
悠と同じか、それ以上に悠のことはよく分かるんだよ。
だって、アナタは最愛の人だから。
「……悠、もういいんだよ?」
私はノートを音を立てずに閉じて、机に置くと真っ直ぐに悠を見た。
「……何がだよ」
そんな私と目を合わせずに弱々しい声を絞り出した悠。
まるで私が言いたいことを分かっているよう。
そんな頼りない声、生きていたとき一度だって聞いたことないよ、私。
悠、ごめんね。
今から言うことは、きっとアナタにとって残酷に聞こえるかもしれないね。
……それでも、言わなくちゃいけないの。
躊躇いがちに、それでも声は揺れないように、しっかりと意思を含んで、
スッと息を吸って、吐き出した。
「…私を忘れてもいいから、前に進んで?」
「……あ、そーいえば初めて行ったデート、楽しかったよな。そのときに初キスしてさ、オレあのとき人生で一番幸せを感じたんだ。」
私の置いたノートを手に取り、その頃のことが記されているページを開いて思い出話をする悠は、私の言葉をまるで聞いていない。
…否、聞かないフリをしているようだ。
「……ねえ、悠。」
「あ、夏に行った海も最高だったよな。めいの水着姿が可愛くてさあ、ずっと頭に焼き付いてるんだぜ? あ、これ言ったら怒る?」