交換日記。~また会おうね。~
そう言いながら悪戯な笑みを浮かべた悠。
その頬はピクピクと痙攣していて、無理しているのが見え見えで心が痛んだ。
こんなの、見ていられないよ……。
「…ねえ、」
「あ、そういえば文化祭のときも……」
はぐらかすように話題を変えて、
こんなことしたって無意味だってことに、悠は気づいているのだろうか。
それとも、それでも私を失いたくないってことなのかな。
すごく嬉しい…けどそれじゃ、駄目なんだよ。
私を…いつまでも覚えてちゃ悠は幸せにはなれないんだよ。
「…ねえってば、お願いだから私の話を聞いてよ!」
「……なんだよ、どーせ良くないことだろ。」
意固地になっているように見えた悠の話を遮って、声のボリュームを上げた。
すると陽気に話していた声はピタリと止まり、代わりに少しいじけたような、諦めるような、そんな顔をした。
そして、悠は苛立ちと切なさが混じった瞳で私を捕らえるように、ガタンと椅子から立ち、私の肌が触れる距離まで近づいてきた。
「…悠?」
「…聞きたくねえんだよ。」
椅子から立ち上がって私の側に来た悠にそのまま強く抱きしめられた。
忘れもしない、悠の温もりや匂い。
私の安心できる場所。
「めい、好きだよ。ずっと、一緒にいたい。オレの願いは叶わねえのかよ…。」
掠れて縋るような声を出す悠に、私の中で想いが一気に溢れた。
信じられないスピードで、涙が流れる。
「……うぅ…悠ぁっ……。」
呂律も上手く回らない私。
そんなの叶うならとっくに叶えてるよ。
私は、堪えきれずに泣きじゃくった。
悠のブレザーの肩が私の涙で染まる。