【BL】切恋のあと…
走ってる途中で思い出した。
そう言えば、雨、降ってたんだっけ。
びしょ濡れだな。
三条駅前は大学から走って20分の位置にある。
駅前だけあって人通りが多い。
見つけるのに一苦労だと思ったけど、思いの外すぐに見つけれた。
この雨の中、傘も差さずに立ち尽くしてれば、嫌でも目立つ。
俺は、ゆっくり近付いた。
途中で、俺に気がついて、首を傾げて笑んできた。
「あれ?どうしたんだよ、びしょ濡れだよ?」
「…お前もな。」
「ああ、そっか。そうだね。」
どうして、
「……来ないよ。どんなに待っても、あの女は来ない。」
どこが、
「……うん。分かってる。」
コイツのどこが、
「分かってたよ。」
――弱いって言うんだよ!?
「分かってて、ここにいるのか?」
「うん。馬鹿だろう?」
コイツは、また笑う。
「――馬鹿だな。無理やり笑うなよ。泣きたいくせに。」
「どうした?今日、なんか変だよ?らしくない。」
「……そうだよ。らしくない。」
俺はコイツの手を引いて、そっと抱き寄せた。
「な、何?」
「……体、冷えてんじゃん。やっぱ馬鹿だ。」
コイツが抵抗らしい抵抗をする前に、さらに強く抱き締めた。