お姫様
「池端には関係ねぇだろ」
弥殊を幸せにしたい。
でも自分じゃできない。
お前にこの気持ちが分かるか?
俺は冷たい声で言う。
「お前には解んねぇよ。放っとけ」
ーバシッ
突然自分に向かって飛んできたバスケットボール。
片手でそれを止め、池端を見る。
「何だよ?」
思い切り睨みを利かせて聞くと、池端が言う。
「弥殊のためを思って…とでも言いたいわけ?」
図星を突かれて黙ると続けて言う。
「弥殊別れるたびに傷つくんだよ?悩むんだよ?好きになった人以外と付き合ったって意味無いんだよ?」
池端の言うことは的を得ていた。
十分納得できた。
けど。
それは今までの俺をすべて否定されたみたいで。
俺はつい呟く。
「うるせぇよ」