お姫様



「池端には関係ねぇだろ」


弥殊を幸せにしたい。


でも自分じゃできない。


お前にこの気持ちが分かるか?


俺は冷たい声で言う。


「お前には解んねぇよ。放っとけ」


ーバシッ


突然自分に向かって飛んできたバスケットボール。


片手でそれを止め、池端を見る。


「何だよ?」


思い切り睨みを利かせて聞くと、池端が言う。


「弥殊のためを思って…とでも言いたいわけ?」


図星を突かれて黙ると続けて言う。


「弥殊別れるたびに傷つくんだよ?悩むんだよ?好きになった人以外と付き合ったって意味無いんだよ?」


池端の言うことは的を得ていた。


十分納得できた。


けど。


それは今までの俺をすべて否定されたみたいで。


俺はつい呟く。


「うるせぇよ」











< 6 / 14 >

この作品をシェア

pagetop