僕等のヒカリ〜ひまわりの小さなキセキ〜



先生が病室から出て行き、3人になった。



何話したらいいのか分からないから、ずっと窓から見える外の景色を見ていた。




「奈緒、どうして記憶失くしたの?どうして、私たちのこと覚えてないの?」



「えっ……」




「何で事故に巻き込まれたくらいで記憶失くすのよ‼︎」




目が覚めたら、何も覚えていなかった……



ただそれだけなのに……



どうして、知らない人に責められないといけないの……?



何もしていないのに、ドン底に突き落とされたような気分だった。



そして、悲しみがだんだん怒りに変わり、




「……って……」



「え?」



「ここから出てって‼︎2度とあたしの前に現れないで‼︎」




2人を廊下に追い出して、ドアを閉めて鍵をかけた。




「おい‼︎奈緒‼︎開けろよ‼︎」




ドアをドンドン叩いている男の子。



その音と振動を感じながら、ドアを背にして床に座り込み声を殺して泣いた。






ーーその日から、あたしの中から“自分”が消えた……





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