狼センセイと、内緒。
「と、とりあえずもう時間だ!
早くお前は教室戻れ!」
「あー!ほんとだ!
失礼します!」
そう言って立ち上がった瞬間、センセイに腕を掴まれた。
「どうしたました?」
「…放課後、待ってるからな」
「…はい!」
とびっきりの笑顔で部屋を出る。
廊下を走りながら、さっきの出来事を思い出す。
ダメだ…!
にやけちゃう!
やっぱり私は相当センセイが好きなんだなとまた自覚する。
センセイに釘付けの毎日。
言われなくてもセンセイしか見ていない。
誰がなんと言おうと、センセイが私を好きじゃなくても……私はセンセイが好き。
「センセイ…」
センセイの唇の感触を思い出す。
センセイは恥ずかしがらずキスできるんだもんね…
私はいつキスされても恥ずかしいのに!
しかもセンセイは突然キスすること多いしなぁ…
そんなことを考えながら、誰もいない渡り廊下を歩く。
予鈴まであと5分。
だけど浮かれていたせいか、走るのを止めてゆっくり私は歩いた。
その瞬間だった。
一瞬にして私の視界は真っ暗になる。
「!?」
気づいたら口も押さえられていた。
「んんっ!」
「黙ってな旗手!」
「!?」
私の名前を言った声でハッと我に返る。
その声…!
そう思った瞬間、意識がだんだん遠のいていった。
センセイ…
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「…きろ!」
「ん…」
「起きろ旗手!」
パッと聞き覚えのある声で起きる。
起き上がったら、身体の自由が利かないことに気づいた。
私、縛られてる!?
おまけに口をガムテープで塞がれていた。
何この状況…!
「やっと起きたの、クズ」
「!?」
ふと見上げると、そこには私をイジメている数人の女子が立っていた。
そして見知らぬ場所にいることに気がつく。
どこ…!?
「まったく手がかかるやつなんだから!」
「ほんと!重いったらありゃしない!」
「んんっ!」
言葉を発したくても塞がれていて出ない。
嫌な汗が頬をつたう。
どういうつもりなの…!
「ねぇ旗手ー。
あんた最近調子乗りすぎじゃない?」
「ほんと!
神風先生に色目使ってんでしょ?」
色目!?
そんなの使ってない…!
「それに姫路とも仲いいみたいじゃん」
「なに?ボディーガードでも見つけるつもりだったの?」
「ほんと旗手サイテー」
そんなんじゃない!
勝手なこと言わないで!
言葉にしたくても出ない。
それに腹が立つ。
「あんたってほんと目障り。
消えてくんない?」
「入って!」
1人の女子がそう言った瞬間、4人の男子が部屋へ入ってきた。
怖い…!
なにこの人達…!
「あんたらこいつのこと好きにしていいよ!」
へ!?
「早いとこヤっちゃって?」
不敵な笑みを浮かべる。
さらに恐怖心が増す。
「へー、意外といい女じゃん?」
「なにしてもいーの?」
4人の男子が私に近づく。
来ないで…!!
「いーよいーよ!
好きにして!」
「それじゃあ私達行くねー!」
女子達は私にひらひら手を振って部屋を出て行く。
4人の男子の中の1人が、女子達が出て行ったのを見て部屋の鍵を内側からかけた。
なっ…!
なにしてるの!?
「そんなに眉間に皺寄せないでよー菜波ちゃん♪」
1人の男子が私の顎に触れる。
やだ!触らないで!
必死に抵抗する。
だけど男の人の力には勝てない。