未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
その後、今後のスケジュールについて話し合う事になった。


「大急ぎで結婚式を挙げないといけないわね」


と切り出したのは母だった。


「式なんて挙げなくてもいいんじゃないかな?」


と俺は言ってみたが、


「そうは行かないわよ。真田家当主の結婚ですもの。でも、ゆっくり準備する時間はないから、あまり派手には出来ないわね」


となり、それなりの式は挙げないといけないらしい。面倒な事この上ないが。


「日取りもこの際決めてしまいましょう。大急ぎで準備をしたとしても、早くて2ヶ月先ぐらいかしら。ねえ、山本さん?」

「さようでございますね」

「いっその事、信之さんの誕生日にしたらいいんじゃない? 問題の期限の」


と発言したのは慶次だった。“問題の期限”とは、もちろん亡父が遺した遺言の期限だ。その日までに俺は結婚し、跡継ぎを作らないといけないという……


「そうね……。どうかしら、信之さん?」

「俺は別に構わないけど、小松はどうかな?」


俺は、もう一人の当事者である小松に意見を聞いてみた。ところが……


「わ、私は……」

「日取りはそれで決まりね。後は……」


小松はいいとも悪いともまだ言ってないのに、母はさっさと決めようとした。


「ちょっと待ってください。小松の意見がまだです」

「あら、何か問題あるの? 小松さん」

「い、いいえ、大丈夫です」

「そう? だそうよ、信之さん」

「はあ……」


やれやれ。この調子じゃ、俺が虐めるまでもなく、小松は相当苦労しそうだなあ……

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