未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「おい、俺はまだ何も言ってないぞ?」

「そうか? 要するに、いざって時に、あっちの方が使い物にならなかった、って話だろ? それだったら強壮剤を飲むとか、カウンセリングしてもらうとか、そんなところじゃないかな。いずれにしても俺が相談に乗れる話じゃないな。俺はこう見えても下ネタは苦手だ」

「下ネタ?」


兼続は何を言ってるんだろうか。何か勘違いをしているような……あ、そうか。


「バカ。そんな話じゃない!」


ようやく兼続の言う意味が解ったが、もちろんそんな事はない。昨夜、むしろ俺はしっかりその気になっていた。あの時までは……


「違うのか? おまえが“頑張れなかった”って言うから、てっきりそういう事だと思ったよ。だったら、なんで頑張れなかったんだ?」

「それがだな。ん……初めてだったんだよ」

「初めてって、おまえがか? なんて、それはないな。いくらなんでも。彼女が初めてだから出来なかったってか? やっぱり下ネタじゃねえか?」

「いや、少し違うんだ」

「違う? 彼女がバージンだって話じゃないのか?」

「いや、それはたぶんそうなんだが、それ以前に、というか……」


いざとなったら言うのが恥ずかしくなってきた。やはりこの話はやめておくか?

しかしなあ。そこを飛ばすと話が続かないんだよなあ。

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