未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
昨夜、やや遅い時刻に小松は俺の寝室へやって来たのだが、俺は彼女を見てびっくりした。なぜなら、彼女は真新しいピンクのネグリジェを着ていたのだ。


「いつもそういうのを着て寝るのか?」

「い、いいえ。これは用意していただいたんです。お母さまに……」

「ああ、なるほどね……」


それを着て跡継ぎ作りに励めという事か。あのお堅い母が……

正直、ネグリジェはまだ幼さが残る小松にはあまり似合わないと思ったが、メイド服や普段着の彼女とはかなり印象が違うし、やはりと言うべきか、色っぽくはあった。


「寒くないか?」

「大丈夫です」


薄着なので聞いてみたが、適度に空調は効いているし、何より返事をした小松の顔は少し赤らんでいるから本当に大丈夫なのだろう。もっとも、顔が赤いのは温かいからと言うよりも、湯上りだからか、あるいは恥じらいからか、もしくはその両方と思われたが。


「何か飲むかい?」

「いいえ、私は大丈夫です。ご主人さまは……?」

「俺もいい。じゃあ……寝るか?」

「は、はい……」


俺が言ったのは眠る意味の“寝る”ではもちろんなく、それは小松もわかっていたようで、その証に、小松は頬の辺りを更に赤くして頷いたのだった。


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