未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
掛け布団を剥ぎ、小松と二人並んで腰掛けた。そう言えば、いつの間にか枕は二つになっていた。使用人が置いてくれたのだろう。


「明かりは消した方がいいかな?」


と言いながら俺はリモコンに手を伸ばしたが、


「どちらでも、私は……」


と小松が言うので、消すのはやめた。小松の顔を見ながら、したかったからだ。


「そうか。本当にいいんだね?」

「明かりの事ですか?」

「じゃなくて、真田家の跡継ぎを君に産んでもらう事さ」

「それは……はい。ご主人さまに服従する約束ですから」

「そうか。そうだよな?」


俺は無理して平静を装ってはいたが、実際は緊張して心臓はバクバクだった。こういう事はレーサー時代以来で相当に久しぶりだし、小松のような若い子とした事がないからだ。しかもこんなに可愛い子とは……


「小松……」

「はい?」

「目を閉じてくれるか?」


俺は、小松の華奢な肩に手を乗せて言った。薄い布越しに触れた小松の肌は、柔らかいのに適度な張りがあった。


「あ、はい」


小松は素直に目を閉じた。睫毛がとても長い。

俺はゆっくりと顔を近付け、小松の桜色した小さな唇に、自分のそれを重ねていった……

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