未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
政宗君は、さも呆れたといった顔をした。俺はわかってないだって? 何をだ?
「姉貴が泣いてるのは今だ」
「今?」
「そう。正確に言えば、あんたの屋敷を出てからずっとだ。姉貴は、俺の前では平気な振りしてるけど、俺にはわかるんだ。陰で泣いてるのが。布団の中とか、風呂の中とか、便所で吐いた時とか……」
「悪いけど、それは君の思い過ごしだろう。だって、小松は俺や真田の家から解放されて、今じゃせいせいしてるはずだから」
そう言うと、政宗君はずいっと体を前に出し、俺を鋭い目で睨みつけた。
「あんた、それ本気で言ってるのか?」
「あ、ああ。もちろん」
「もう一発殴っていいか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は君に殴られても仕方ないと思う。お姉さんに酷い事をしたからね。しかし、今の君の言い方が気になる。どういう事か説明してくれないか? 殴る前に……」
俺がそう言うと、政宗君は背中を背もたれに着け、ハアーと盛大な溜め息をついた。
「誰だって、好きな男に追い出されたら、泣きたくなるだろ?」
「…………えっ?」
「“え?”じゃねえよ。あんたは……姉貴の気持ちを全くわかってない!」
「姉貴が泣いてるのは今だ」
「今?」
「そう。正確に言えば、あんたの屋敷を出てからずっとだ。姉貴は、俺の前では平気な振りしてるけど、俺にはわかるんだ。陰で泣いてるのが。布団の中とか、風呂の中とか、便所で吐いた時とか……」
「悪いけど、それは君の思い過ごしだろう。だって、小松は俺や真田の家から解放されて、今じゃせいせいしてるはずだから」
そう言うと、政宗君はずいっと体を前に出し、俺を鋭い目で睨みつけた。
「あんた、それ本気で言ってるのか?」
「あ、ああ。もちろん」
「もう一発殴っていいか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は君に殴られても仕方ないと思う。お姉さんに酷い事をしたからね。しかし、今の君の言い方が気になる。どういう事か説明してくれないか? 殴る前に……」
俺がそう言うと、政宗君は背中を背もたれに着け、ハアーと盛大な溜め息をついた。
「誰だって、好きな男に追い出されたら、泣きたくなるだろ?」
「…………えっ?」
「“え?”じゃねえよ。あんたは……姉貴の気持ちを全くわかってない!」