未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
本当にズバリの質問だった。しかも小松に似た顔でジッと見られては、まるで小松から聞かれてるようで、答えるのが恥ずかしい。


「いやあ、それは……」

「照れてないで、はっきり答えてください。男らしく」


そうまで言われては答えるほかないだろう。俺はそう腹をくくった。


「わかった、言うよ。俺は君の姉さん、つまり小松の事が好きだ。大好きだ」

「やっぱりね。なんだ、相思相愛じゃないですか……」

「いや、それは違うだろう。小松は俺なんか……」

「何言ってるんですか。姉貴もあなたの事が好きだって、何度も言ってるじゃないですか……」

「それはないよ。だって、俺は小松より15も上だし、第一小松から一度も言われた事ないしな」

「あなただって言ってないでしょ? 姉貴はあなたの気持ちを知りませんよ。だから言えないんです。言葉にしないと、気持ちはなかなか通じないものですよ?」


“言葉にしないと通じない”かあ……

確かにそうかもしれない。こんな若い男から教わるなんて、俺はいったい何をやってるんだろうか。


「よし、わかった」


俺はそう言うと、すくっと立ち上がった。


「どうするんですか?」

「決まってるだろ? 直接本人に確かめるのさ」

「なるほど」

「ああ、そう言えばもう一発殴るんだったね? 早くやってくれないか?」


そう言って俺が心もち顔を突き出すと、政宗君もすくっと立ち、拳を握った。

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