未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
小松は、下を向いて自分のお腹に手を当て、誰かに語り掛けるようにそう言った。何とも優しい響きの、赤ちゃん言葉で……


「小松……?」

「でも、ご主人さま。まだ男の子かどうか分かりませんよ。もし女の子だったらどうするんですか?」

「え? 幸子、かな……」

「えー? それじゃ安易過ぎますよー」

「そ、そうかなあ」


じゃなくて……


「ちょっと待て。お腹にまだいるのか? 赤ちゃんが……」

「当たり前じゃないですか。昨日、病院へ行ってエコーを見せてもらいました。順調だそうです」


小松はニッコリと、幸せそうに微笑んだ。俺まで暖かくなるような、そんな柔らかい笑顔ではあるのだが……


「そんなバカな。だって、さっき触ったら、おまえのお腹はぺったんこだったぞ?」

「へ? …………ああ、そういう事ですか。私のお腹がまだ大きくないから、ご主人さまは私が赤ちゃんを堕したと思ったんですね?」

「あ、ああ。そうだけど?」

「もう……お腹が大きくなるのは、もう少し後からです」

「え? そうなの?」

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