未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
そうだった。俺は小松に言ったんだ。もし小松が子どもを産んだら、その子は真田家の跡取りとして、真田家に取り上げられてしまうだろう、と。だから、堕した方がいいと……


その予想は今でも間違っていないと思うが、その前提の状況が今や大きく変わっている。というか、変えたいと俺は思っているのだ。


「そういう事じゃないんだ。君の苗字はまだ真田だし、これからもずっとそれでいてほしい」

「え? でも、ご主人さまは、離婚の手続きをしておくからって……」

「まだしてないし、するつもりもない」

「ど、どうしてですか?」

「わからない?」

「は、はい」


俺はこんなにも小松を好きなのに、やはり政宗君が言ったように、はっきり言葉にしないと、想いは伝わらないのだろうか……


「あ、わかりました!」

「やっとわかってくれたか?」

「はい。ズバリ言っていいですか?」

「ああ、いいよ」


ちょっと照れくさいけどな。


「面倒になっちゃったんですよね?」

「…………はあ?」

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