未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
一夜だけのハネムーン
小松はまたよくわからない事を言った。目的を果たしたらって、それも“あの時”の事を言ってるのだろうか。だとしても、そんな風にした覚えはないんだけどな。

確かに、コトが済むと気持ちは急速に萎えてしまうが、それでも小松を愛しく思う気持ちだけは変わらなくて、だから決して冷たくした覚えはないんだけどなあ……


「黙ってるって事は、認めるんですよね? それなのに、私の事を好きだなんて、よく言えますね!」


俺の沈黙が、小松には肯定と受け取られてしまったらしい。


「そうじゃないんだ。小松が何の事を言ってるのかわからなくて、それを考えてたんだよ。もしかして、その……何て言うか、セックスの後の事を言ってるのか?」

「せ……!? ち、違います! 何を言ってるんですか? 」


また小松の顔が赤くなった。


「やっぱり違うよね?」

「違います。でも……近いです」

「はあ?」


小松の顔はますます赤くなり、ぷいっと横を向いてしまった。そんな小松も可愛いが、今はそんな悠長な事は言っていられない。とにかく、小松が何の事を言っているのか、それを聞き出さないと……


「小松……、何の事か話してくれないかな?」


俺は、横を向いた小松の顔の前に自分の顔を近づけ、聞いてみた。


「本当にわからないんですか?」

「ああ、わからない」

「じゃあ言います。私が妊娠した途端、ご主人さまは私に触れなくなったじゃないですか。そして結婚式が終わって、お父様の遺言の条件を満たしたと判った途端、私をお屋敷から追い出したじゃないですか。要するに、私はお役御免という事ですよね?」

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