未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
小松は、2週間ほど前からこの屋敷で働くようになったらしい。2週間前と言えば、ちょうど父の遺言状が元で爺やや親戚の連中と揉めてた頃で、だから俺は小松という新しいメイドが来た事に気付かなかった、と言うより気に留めなかったのだろうと思う。
小松は地方から一人で上京し、ここに住み込んでいるらしい。いわゆる夜回りは、住み込みの使用人が交代で行っているのだそうだ。初めて知ったのだが。
「ところで、女性に年を聞いたら失礼かな?」
「いいえ、二十歳です」
小松は胸を張り、誇らしげな顔で即答した。
「なるほど。確かに子どもじゃないね?」
「そうです。あの、信之さまは……?」
「僕かい? いくつぐらいに見える?」
「そうですね……」
小松は首を傾げ、黒目がちの大きな目でジーっと俺を見て言った。
「40歳ぐらいですか?」
と。それを聞いた俺は、ちょっとショックだった。
「そんなに老けてるのかな?」
「違いましたか?」
「ああ。34だ。と言っても、君にしてみれば大した差ではないんだろうな?」
「そんな事はありません。ただ、旦那さまは落ち着いてらっしゃるから……。ごめんなさい」
「いいさ、それは時々言われるし。ただし、“旦那さま”はナシな?」
「すみません、信之さま」
「うん、それでいい」
14歳違いか……
なぜかそれが気になる俺だった。
小松は地方から一人で上京し、ここに住み込んでいるらしい。いわゆる夜回りは、住み込みの使用人が交代で行っているのだそうだ。初めて知ったのだが。
「ところで、女性に年を聞いたら失礼かな?」
「いいえ、二十歳です」
小松は胸を張り、誇らしげな顔で即答した。
「なるほど。確かに子どもじゃないね?」
「そうです。あの、信之さまは……?」
「僕かい? いくつぐらいに見える?」
「そうですね……」
小松は首を傾げ、黒目がちの大きな目でジーっと俺を見て言った。
「40歳ぐらいですか?」
と。それを聞いた俺は、ちょっとショックだった。
「そんなに老けてるのかな?」
「違いましたか?」
「ああ。34だ。と言っても、君にしてみれば大した差ではないんだろうな?」
「そんな事はありません。ただ、旦那さまは落ち着いてらっしゃるから……。ごめんなさい」
「いいさ、それは時々言われるし。ただし、“旦那さま”はナシな?」
「すみません、信之さま」
「うん、それでいい」
14歳違いか……
なぜかそれが気になる俺だった。