未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「ヒロミ? なんだ、冗談かあ」
菊子さんは冗談を言ったらしい。真顔で言うから、てっきり本気かと思ったのだが。
「冗談ってどういう事? 私は本気で怒ってるのよ? あなたって、もっと真面目な人だと思ってたわ」
「ちょっと待ってくださいよ。本気って言われても、相手はネコですからね。どう解釈していいか分からないですよ」
「ネコ?」
「はい……」
「ヒロミって、ネコなの?」
「そうですよ? 当たり前じゃないですか……」
「そ、そうよね。私ったら、うっかりしちゃったわ」
菊子さんは急にしおらしくなり、薄暗い中でもハッキリそれと分かるほど、顔を赤く染めた。
うっかりって、そうは思えないな。菊子さんはネコのヒロミを知らなかったのだと思う。
…………あれ?
それはおかしいだろう。ヒロミはずっと俺が可愛がってきたネコで、おそらくこの屋敷の中で一番俺に懐いていると思う。よく俺の側に来ては、喉をゴロゴロ鳴らしながら擦り寄って来たりする。
それはこの先、俺が誰かと結婚したとしても変わるとは思えず、だとしたら……
「菊子さん、あなた本当に僕の奥さんですか? ヒロミを知らないなんて、あり得ないですよね?」
菊子さんは冗談を言ったらしい。真顔で言うから、てっきり本気かと思ったのだが。
「冗談ってどういう事? 私は本気で怒ってるのよ? あなたって、もっと真面目な人だと思ってたわ」
「ちょっと待ってくださいよ。本気って言われても、相手はネコですからね。どう解釈していいか分からないですよ」
「ネコ?」
「はい……」
「ヒロミって、ネコなの?」
「そうですよ? 当たり前じゃないですか……」
「そ、そうよね。私ったら、うっかりしちゃったわ」
菊子さんは急にしおらしくなり、薄暗い中でもハッキリそれと分かるほど、顔を赤く染めた。
うっかりって、そうは思えないな。菊子さんはネコのヒロミを知らなかったのだと思う。
…………あれ?
それはおかしいだろう。ヒロミはずっと俺が可愛がってきたネコで、おそらくこの屋敷の中で一番俺に懐いていると思う。よく俺の側に来ては、喉をゴロゴロ鳴らしながら擦り寄って来たりする。
それはこの先、俺が誰かと結婚したとしても変わるとは思えず、だとしたら……
「菊子さん、あなた本当に僕の奥さんですか? ヒロミを知らないなんて、あり得ないですよね?」