未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
猫が消えた
前回はこの直後に小松がドアをノックしたんだよなあ。
などと思いながら一瞬待ってみたが、さすがに同じ事は起こらなかった。とは言っても気になるので、俺は廊下を覗いてみる事にし、ベッドから下りた。
ドアを開き、廊下に出ると同時に右の方向に目をやった。そっちのトイレが近いからだ。すると、ほんの数メートル先の、ちょうど俺の書斎の前あたりにメイドがいた。
小松だ。
彼女は、顔を隠すかのように両手で覆い、背中を壁にピタリと着けて立っていた。
その尋常とは思えない小松の様子に、俺は考えるより先に彼女へ近付いていた。そして、そうしながら気付いたのだが、小松の目の前の廊下に白いシーツが落ちていた。おそらくそれは、菊子さんが体に巻いた俺の布団のシーツで間違いないと思う。
「小松、どうした?」
「ひゃっ!」
小松は俺に気付いてなかったらしく、俺が近付いて声を掛けたら飛び上がらんばかりに驚いた。
「何か見たのか?」
「は、はい。ゆ、幽霊を見ました」
「ああ、やっぱり見たのか……」
「“やっぱり”って事は、アレは本物なんですか? イヤー!」
小松は叫ぶと同時に、勢いよく俺の体にしがみ付いて来た。
などと思いながら一瞬待ってみたが、さすがに同じ事は起こらなかった。とは言っても気になるので、俺は廊下を覗いてみる事にし、ベッドから下りた。
ドアを開き、廊下に出ると同時に右の方向に目をやった。そっちのトイレが近いからだ。すると、ほんの数メートル先の、ちょうど俺の書斎の前あたりにメイドがいた。
小松だ。
彼女は、顔を隠すかのように両手で覆い、背中を壁にピタリと着けて立っていた。
その尋常とは思えない小松の様子に、俺は考えるより先に彼女へ近付いていた。そして、そうしながら気付いたのだが、小松の目の前の廊下に白いシーツが落ちていた。おそらくそれは、菊子さんが体に巻いた俺の布団のシーツで間違いないと思う。
「小松、どうした?」
「ひゃっ!」
小松は俺に気付いてなかったらしく、俺が近付いて声を掛けたら飛び上がらんばかりに驚いた。
「何か見たのか?」
「は、はい。ゆ、幽霊を見ました」
「ああ、やっぱり見たのか……」
「“やっぱり”って事は、アレは本物なんですか? イヤー!」
小松は叫ぶと同時に、勢いよく俺の体にしがみ付いて来た。