未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「旦那さま……」
「ん? その呼び方はやめてくれって言ったよね?」
「すみません。信之さま……」
「何かな?」
「私が見たのはやっぱり幽霊なんでしょうか?」
小松は、黒目がちな目でしっかり俺を見つめてそう聞いてきた。さて、どう答えようか……
有りのままに言って小松に笑われるのは癪に障るしな。いや、待てよ。小松は現に菊子さんが消える瞬間を目撃しているわけで、俺の話を信じてくれるかもしれない。それに……
菊子さんは明日、と言うかもう“今日”だが、この屋敷へやって来る。もしも小松が何も知らないまま彼女を見たら、さぞやびっくりするだろう。ちょっとした騒ぎになりかねない。
うん、やはり話すとしよう。菊子さんの事を……
「アレはね、幽霊ではないんだよ。ある意味似たところはあるけどね」
「え? 違うんですか? でも、消えたんですよ? フッて……」
「そうだね。その意味では幽霊みたいなものだけど、違うんだ。そうだなあ、一番違う点は……彼女は生きてるって事かな」
「生きてるんですか? ……あ、生霊ですか!?」
小松は大きな目を更に大きく見開き、かつ得意気にそう言った。その顔が子どもっぽくて可愛くて、俺は思わず頬が緩むのだった。
「ん? その呼び方はやめてくれって言ったよね?」
「すみません。信之さま……」
「何かな?」
「私が見たのはやっぱり幽霊なんでしょうか?」
小松は、黒目がちな目でしっかり俺を見つめてそう聞いてきた。さて、どう答えようか……
有りのままに言って小松に笑われるのは癪に障るしな。いや、待てよ。小松は現に菊子さんが消える瞬間を目撃しているわけで、俺の話を信じてくれるかもしれない。それに……
菊子さんは明日、と言うかもう“今日”だが、この屋敷へやって来る。もしも小松が何も知らないまま彼女を見たら、さぞやびっくりするだろう。ちょっとした騒ぎになりかねない。
うん、やはり話すとしよう。菊子さんの事を……
「アレはね、幽霊ではないんだよ。ある意味似たところはあるけどね」
「え? 違うんですか? でも、消えたんですよ? フッて……」
「そうだね。その意味では幽霊みたいなものだけど、違うんだ。そうだなあ、一番違う点は……彼女は生きてるって事かな」
「生きてるんですか? ……あ、生霊ですか!?」
小松は大きな目を更に大きく見開き、かつ得意気にそう言った。その顔が子どもっぽくて可愛くて、俺は思わず頬が緩むのだった。