未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「どうして笑ってるんですか?」
「いや、ごめん。生き霊ね……。近いけど、少し違うんだな」
「近いけど違う、ですか? ん……分かりません。どういう事なんですか?」
「分からないよね? 僕自身、狐につままれたような心境でね」
「はあ……」
小松は少し首を傾げ、興味深そうに目をキラキラさせて俺の顔を凝視していた。その顔もまた可愛いな、なんて思ってしまう俺だった。
「君は明日、正確には今日だが、僕に来客があるのを知っているかな?」
「あ、はい。聞いています。どこかのご令嬢とか……」
「その言い方だと、君はその人の名前も顔も知らないようだね?」
「はい、知りません」
「そうか。もっとも、僕だって会うのは今回が初めて……のはずだったんだ」
「はい?」
俺が急に来客の話を始め、しかも妙な言い方をするものだから、小松はそれこそ狐につままれたように、キョトンとした顔をした。その顔もまた可愛く、小松は、俺が思った以上に表情が豊かな子だという事が分かった。
「その人の名は浅井菊子さんと言って、旧家のご令嬢だそうだ」
「あ、そうですか……」
小松の顔には、“それがどうかしましたか?”と、はっきり書いてあるように俺には見えた。それはもっともな事だと思うけれども。
では、次に俺がこう言ったとしたら、この子はいったいどんな顔をするのだろう。そんな事を思いながら、俺は口を開くのだった。
「いや、ごめん。生き霊ね……。近いけど、少し違うんだな」
「近いけど違う、ですか? ん……分かりません。どういう事なんですか?」
「分からないよね? 僕自身、狐につままれたような心境でね」
「はあ……」
小松は少し首を傾げ、興味深そうに目をキラキラさせて俺の顔を凝視していた。その顔もまた可愛いな、なんて思ってしまう俺だった。
「君は明日、正確には今日だが、僕に来客があるのを知っているかな?」
「あ、はい。聞いています。どこかのご令嬢とか……」
「その言い方だと、君はその人の名前も顔も知らないようだね?」
「はい、知りません」
「そうか。もっとも、僕だって会うのは今回が初めて……のはずだったんだ」
「はい?」
俺が急に来客の話を始め、しかも妙な言い方をするものだから、小松はそれこそ狐につままれたように、キョトンとした顔をした。その顔もまた可愛く、小松は、俺が思った以上に表情が豊かな子だという事が分かった。
「その人の名は浅井菊子さんと言って、旧家のご令嬢だそうだ」
「あ、そうですか……」
小松の顔には、“それがどうかしましたか?”と、はっきり書いてあるように俺には見えた。それはもっともな事だと思うけれども。
では、次に俺がこう言ったとしたら、この子はいったいどんな顔をするのだろう。そんな事を思いながら、俺は口を開くのだった。