未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「なんだ……」
小松は、いかにも“がっかり”と言った感じで肩を落とした。本当にこの子は表情が豊かだ。まだ子どもっぽいという事か。なにせまだ二十歳だしなあ……
などと考えたところで、俺はふとある事を思い出した。
「あれ? おかしいなあ……」
「どうしたんですか?」
思わず俺が呟くと、すぐに小松はそれに反応した。
「それがね、菊子さんは知らなかったんだよ。ヒロミが俺の猫だという事を……」
と、その疑問を言ってみたのだが、
「はあ、そうですか……」
小松は意外にも気のない返事しかしなかった。
ああ、そうか。小松には菊子さんが将来俺の嫁になるという話をしてないから、ヒロミの事を知らないのは変だ、という発想にはならないのだな。
「普通は人間の名前だもんな? 知らなくても無理はないし、むしろ当然だな。今のは忘れてくれ」
「あ、はい」
小松は、“この人、何言ってんのかしら?”みたいな顔つきでキョトンとしていた。
その後は前回と同じく小松にコーヒーを淹れてもらい、少しの間、四方山話をして再び眠りについた。
そして一夜が明け、そろそろ菊子さんが屋敷へ来るかな、といった頃、執事の爺やが神妙な顔つきで俺の元へやって来た。
小松は、いかにも“がっかり”と言った感じで肩を落とした。本当にこの子は表情が豊かだ。まだ子どもっぽいという事か。なにせまだ二十歳だしなあ……
などと考えたところで、俺はふとある事を思い出した。
「あれ? おかしいなあ……」
「どうしたんですか?」
思わず俺が呟くと、すぐに小松はそれに反応した。
「それがね、菊子さんは知らなかったんだよ。ヒロミが俺の猫だという事を……」
と、その疑問を言ってみたのだが、
「はあ、そうですか……」
小松は意外にも気のない返事しかしなかった。
ああ、そうか。小松には菊子さんが将来俺の嫁になるという話をしてないから、ヒロミの事を知らないのは変だ、という発想にはならないのだな。
「普通は人間の名前だもんな? 知らなくても無理はないし、むしろ当然だな。今のは忘れてくれ」
「あ、はい」
小松は、“この人、何言ってんのかしら?”みたいな顔つきでキョトンとしていた。
その後は前回と同じく小松にコーヒーを淹れてもらい、少しの間、四方山話をして再び眠りについた。
そして一夜が明け、そろそろ菊子さんが屋敷へ来るかな、といった頃、執事の爺やが神妙な顔つきで俺の元へやって来た。