未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
途中で読むのもバカバカしくなり、俺は早々にページを閉じた。要するに菊子さんの写真を盗み撮りし、彼女の素性を調べるのが精一杯で、後は適当に話をでっち上げてページを埋めただけの、くだらない記事だった。
「これは驚いたなあ。こんなものが記事になるのか?」
要するに、ある女性が親と一緒に他人の家を訪問したってだけなのだが、何でそれが雑誌の記事になるのか、俺にはさっぱり解らなかった。ところが、
「そりゃあ、なるだろうよ」
兼続はそう言い放った。
「はあ? こんなもの、誰も読まないだろが……」
「信之、おまえ本気で言ってるのか?」
「え? もちろんそうだけど?」
「おまえという奴は……。自分の立場が全く解ってないんだな? ま、おまえらしいと言えばそれまでだが」
「俺の立場? 一応は解ってるつもりだぞ。父が急死したんで、急遽真田家の当主になっちまった。一人っ子だからな。それだけだろ?」
「それだけ? よく言うよ。それで十分だろ? 真田家の当主は即ち真田グループの総帥だ。日本経済を支える大企業のオーナーだ。そして、先代の社長が遺したユニークな遺書。そんな真田家の存亡を賭けた一大事ともなれば、マスコミが騒がない訳がないじゃないか」
「はあ……」
随分大げさな気がするけどなあ。俺には今一つピンと来ないや。ああ、そうか。エレベーターの中で社員達が俺をチラチラ見てたのは、この雑誌の記事のせいか。まったく、迷惑な話だ。
「そんな事より、なぜ俺に話してくれなかったんだよ? 雑誌で知るなんて、あんまりだろ?」
兼続は長い脚を組んで悠々と座ってはいるが、目がやや釣り上がっていて、本当に怒っているようだった。
「これは驚いたなあ。こんなものが記事になるのか?」
要するに、ある女性が親と一緒に他人の家を訪問したってだけなのだが、何でそれが雑誌の記事になるのか、俺にはさっぱり解らなかった。ところが、
「そりゃあ、なるだろうよ」
兼続はそう言い放った。
「はあ? こんなもの、誰も読まないだろが……」
「信之、おまえ本気で言ってるのか?」
「え? もちろんそうだけど?」
「おまえという奴は……。自分の立場が全く解ってないんだな? ま、おまえらしいと言えばそれまでだが」
「俺の立場? 一応は解ってるつもりだぞ。父が急死したんで、急遽真田家の当主になっちまった。一人っ子だからな。それだけだろ?」
「それだけ? よく言うよ。それで十分だろ? 真田家の当主は即ち真田グループの総帥だ。日本経済を支える大企業のオーナーだ。そして、先代の社長が遺したユニークな遺書。そんな真田家の存亡を賭けた一大事ともなれば、マスコミが騒がない訳がないじゃないか」
「はあ……」
随分大げさな気がするけどなあ。俺には今一つピンと来ないや。ああ、そうか。エレベーターの中で社員達が俺をチラチラ見てたのは、この雑誌の記事のせいか。まったく、迷惑な話だ。
「そんな事より、なぜ俺に話してくれなかったんだよ? 雑誌で知るなんて、あんまりだろ?」
兼続は長い脚を組んで悠々と座ってはいるが、目がやや釣り上がっていて、本当に怒っているようだった。