未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「時間もないし、このまま話を続けましょう」

「そ、そうね。そうしましょう」


菊子さんは慶次を睨みつけていたが、俺を向くと愛想笑いを顔に浮かべた。ちょっと引きつり気味ではあるが。


「あなたにはタイムスリップする“クセ”があり、未来から俺の寝室へやって来ましたね?」

「そうよ?」

「何回でしたっけ?」

「2回よ?」

「その時の事を、あなたは憶えてますか?」

「も、もちろんよ」


なんだ、案外簡単に引っ掛るんだな。


「それはおかしくないですか? 時間軸が逆転してますよ?」

「はあ?」

「いいですか? 夜中に僕の寝室に現れたあなたは、未来から来たと言いました。そして僕の妻であり、子どももいると。こうしている今も、あの時から見れば未来には違いないが、まだ結婚もしてません。つまり、何年も先の未来からあなたはタイムスリップして来たわけです。それをどうして今という“過去”のあなたが知ってるんですか?」

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