【短編】異世界の館
俺は何度も何度もサキを見たが、どう考えてもサキは透けていないのだ。


まるで本物の人間のようにきちんと3次元なのだ…。




俺は恐る恐るサキに触れようとしたが、その途端ベシッと手を叩かれた。




「仲良くならないと、触れないよ。」



サキはムスっとした顔をした。しかしそれもまた可愛い。




だが、今完全に手が触れたのは間違いない。俺は少ない脳みそであれこれ考えてみた。

結果、こういう事だと納得した。


①これは手で触れられるゲームである。

②プレーヤーの声を認識した事でゲームが始まる。

③自分の成績などのレベルを上げてサキと仲良くなれば、最終的には手を繋いでデートを出来そう。




そんな事は説明書にも載っていなかったが、よしっと気合いを入れて俺は徹夜でゲームをする事に決めた。


早くレベルを上げてサキとデートをしたいためだ。
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