わがまま即興曲。
正直私はかなり嬉しかった。

先生という存在に褒められたの、
初めてだったから。

小学校の時は先生が、私の機嫌を取るために褒めてくれたりはしていた。
けれど、それは本当の意味で私を褒めていたわけではない。
そんなことは子供ながらわかっていて、
すごく、むなしかった。

けれど、これは違う。

純粋に
私自身を
先生が褒めてくれたんだ。

そのことが、すごく嬉しかった。


自分でも単純だと思うけど、
それ以来、谷中先生が大好きになった。


授業中ではなるべく多く発言する。

質問にもよく行くようにした。

授業中、目があった回数を数えたりもした。

先生の他のクラスの授業時間も確認して、
偶然のふりして、そのクラスの方へ行くという、
ストーカーまがいのこともした。


自分でもキモいってわかってるけど、
そのくらい私は谷中先生が
大好きなのだ。


だから、あのメガネには悪いけど、
私は絶対に、学校にいる谷中先生以外を、
"谷中先生"と呼ぶことはできない。
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