わがまま即興曲。
るるも見ているし。と落ち着いて弾いて、
ようやく最後まで弾いた。

「やっぱりあやねちゃん、じょうず!」

るるはそう言ってくれるけど、

「まだまだ。だよ。」

こんなんじゃ、やっぱり納得できない。

「そうなのー?」

るるが不思議そうな顔をする。

「るる、この曲、どう思う?」

「すごい、かっこいい!」

「そうだね。いい曲だよね。
この曲はね、ショパンって人が作った、
幻想即興曲って曲なんだ。」

「げんそうしょっきょうきょく?」

…言えてない。

「うん。
でもね、ショパンて人は、この曲の楽譜を燃やしてほしいって言ったの。」

「ええ?なんで?」

「気に入らなかったみたい。」

「すごいきょくなのにー」

「ね。
ショパンはそのくらい妥協を許さない人ってこと。
私も、そうなりたい。
だからまだ、満足しないの。」

「むずかしくて、るるわかんない…」

「あー…やっぱ、るるにはまだ難しいか…
もう少し、おっきくなったらわかるよ。」
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