わがまま即興曲。
でも、そこ通らないと売店に行けないし、
どうしよう…


そう思っていると、

「すみませーん!」
「売店どこですかー?」

制服の高校生二人組が先生に話しかけている。


…今がチャンス!


私はなるべく先生の視界に入らないように、
その場を通り抜けた。


売店で飲み物を選んでると、
さっきの二人組もやってくる。



「うわっ…ここ品ぞろえ少ねー
なんもねえじゃん。」
「まじだ。ちょー不便じゃね?
ウチ、絶対入院なんてしたくないわ。」
「ウチもー!」


会話が聞こえてきてしまう。
…こっちだってできることなら入院なんてしたくなんだけど。


「でも、さっきここ教えてくれた医者、
めっちゃかっこよくなかったー?」
「ウチも思ってた!ちょーかっこよかった。」
「ああいうのが、主治医だったら入院も悪くないかも!」


ああ?何言ってんだ?こいつら。


「ちょ、お前、不謹慎すぎだろー!
…そこに患者っぽいのいるから怒られるよ?」
「あ、ほんとだ。てか、あの子可愛いね。
病弱美少女って言葉がぴったり!」
「ね!憧れるね!
ああいうのが守ってあげたくなる女なんだろーなー」


…人のことを言いたいように言ってくれる。
なんか腹立ったから、
私は聞こえてないふりをして飲み物を買い、
売店を出た。
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