わがまま即興曲。

なんとなく暗くなりながら、
病室に帰ると、
病室の近くの廊下が騒がしかった。

「もう！また、脱走して！
いい加減にしてください！」
「へへへ。いやあ！すまんねえ。
どうしても、買いたい本があってさ！」
「次やったら、出て行ってもらうことも、
考えますからね！」
「はいはいわかってるって！」

どうやらあのおじいちゃんが、
病院から脱走して、
それを看護師さんが怒ってるらしい。





…脱走？





それだっ！





私は病室から二人の様子を観察して、
おじいちゃんがお説教から解放されるのを待つ。

そして、解放されたのを見て、
こっそり後をつけ、

おじいちゃんが自分の病室に入るのと同時に、私も入り、



「あの！脱走の方法…教えてください！」



直球で頼み込んだ。