わがまま即興曲。
作戦決行日当日。

私は脱走作戦が成功するかどうかで、
気が気ではなかった。

本当に朝から進本さんの姿を見ていない。
進本さん以外の看護師は
私の病室に極力近寄ろうとはしないし…

きっとこの作戦は成功する。
何故か、そう思えた。


…しいていうなら、
懸念事項は、私の体調。

正直、熱は下がっていない。

朝の検温で、
体温計は7度8分という
びっみょーな数字を叩き出していた。

まあ、でも、
昨日から食欲も出てきたし、
点滴も外してもらえたから、
どうにかなんだろ。


つーかもう、二人と会う約束しちゃったから、
あとには引けない。

実際、今日くらいしか、
作戦決行できそうにないし。


大丈夫。
ちょっと熱があるくらい、
今更どうってことない。
よくあることだ。


そう思って私は、

「みっしょんすたーと!」

脱走作戦を開始した。
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