わがまま即興曲。
「毎度思うけど、
私達なんかが友達やってていいのか?」

思わず、たきのりに言ってしまった。

「嫌だったら、とっくに友達やめてるでしょ」

たきのりが言う。

「…そうだね。」

「そうだよ。」

たきのりのこういう単純なところが良いところなのだ。
だからこいつも、結構友達がいる。

「たきのりってさ、友達どのくらいいる?」

聞いてみる。

「考えたことない。」

ほら。
考えなくても済むくらい。
いっぱいいるんでしょ?

「私はあんまりいない。
だからさ、人気者の雪乃とか、
友達が多いたきのりを見てて、
ああ、私なんかが近くにいて、
いいのかな?って思っちゃうの。」

ついつい、不安な気持ちを吐露してしまった。
そしたらやっぱりたきのりは、
いつもの勇気の出る笑顔で答えてくれる。

「んなこといちいち考えなくても、
私も雪乃も、彩音といて楽しいから、
友達やってるんだよ?」

「私といて、楽しい?」

私、何もできないよ?

「彩音はおとなしそうにみえて、
実はすっごいよく喋るし、
考えてることが楽しいし、
それに可愛いし。

そう、せっかく可愛いんだから、
そんな顔しなーい。」

って言って、頬っぺたを引っ張られた。
グニグニ揉まれる

「あ、ありがと。
って、いつまで触っとんじゃ!
そろそろ痛いわ!」

たきのり…元気づけてくれて、ありがとう。
嬉しいから言い返してやる。

「私にとって、雪乃とたきのりが一番だから
そっちが嫌いになっても、
友達で居続けてやるから、覚悟しとけよ?」

絶対にずっと友達でいたいんだ。
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