わがまま即興曲。
「…また、不安な時はいつでも言ってください。」



「先生…」



「もう、独りで抱え込まなくてもいいですよ?
僕で良ければいつでも話相手になります。」


車の中で泣きじゃくった時の、
先生のぬくもりを思い出して、
恥ずかしくなる…






「彼女いない歴=年齢の男に言われてもなあ…」





恥ずかしいからついつい生意気なことを言ってしまう自分が嫌だ。


「な、なんで今、そんな話になるんですか!?」


「なんか、かっこ良さげな台詞言ったから。」


「え…?あ…」


「あはは!
何、自分で言ってちょっと恥ずかしくなってんの?」


動揺する先生はやっぱり面白い。


「っ…!
…やっぱり、彩音さんには勝てません。」


「ん?なんか言った?」


「なんでもありません。
僕はそろそろ行きますので、
ちゃんと寝ててくださいね。」


先生は優しい笑顔でそう言うと、
私の部屋から出ていった。

…本当はわかってる。

先生は私が無理して明るくしていると思っているんだろう。
間違ってはいない。

でもね、先生。

今の私にはやっぱりこうするしかないの…

それに、この明るさは全部偽物ってわけじゃないんだよ?
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