わがまま即興曲。
「こいつだな。」

「うん!
これならいけそう!」

浴衣でも登れそうな木を選別する。


…ていうか、今さらだけど、

「下駄を履いた浴衣姿で登れるかだな。」

「彩音、ようやく気づいたか。」

「どう思う、雪乃?」

「うーん…」

雪乃はちょっと悩んでから、
枝に手をかけ始めた。


「あ!中々、いけそう!」

雪乃がスルスル登っていく。

「よしきた!行くぜ!」

雪乃を見ていたし、同じように行けば簡単なんだろうと、雪乃と同じルートで行くけど…

雪乃がスポーツ万能少女であることを忘れていた。

「はぁはぁ…」

結構、ハードである。
呼吸が乱れた。

「彩音?大丈夫?」

苦戦している私に雪乃が声をかける。

「へーき…へーき!!」

ここで諦めたら、自分に負けた気がして、
躍起になって登る…………けど。

「彩音さん!?」

嫌な声が聞こえた。


空耳かな?
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