わがまま即興曲。
「あ!ねえ、彩音ー!
彼氏いるぞー?」

空耳じゃなかったみたい。

「…彼氏じゃない!」

「危ないから降りて下さい!」

「うるさいなあ…!
落ちるわけ…ねえじゃん!」

本当、心配しすぎしだし。
大体、なんでいるの?ストーカー?

「弟は同じこと言って落ちました!」

「へー…谷中先生がねえ…」

雪乃が感心してる。

私は無視して登るけど…


正直に言おう…そろそろ体力的にきつい。


…ズルッ!



「あ…!」


「彩音!?」




一瞬、体の力が抜けて、
足が滑った。




って、冷静になっちゃったけど…




普通に落ちてる。




あれ?




これ、ヤバくね?




私、今度は病気じゃなくて、




骨折とかで入院する羽目になるのか?




嫌だ!


嫌だけど、どうにもならない!






と思っていたら、





体が宙に浮いた気がした。





「え?」
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