わがまま即興曲。
「あのー…ちょっといいですかー?」

と、木から降りてきた雪乃が声をかける。

私はまだ先生の腕の中で…

「あ!…え、えっと…!
と、と、りあえず、おろして!」

流石に恥ずかしい。

「あはは!焦ってる彩音、可愛いー!」

その様子を見て、雪乃がからかう。

「う、る、さ、い!」

「顔真っ赤ー!」

「………」

雪乃がここぞとばかりにからかってくる。

「でも、彩音が無事でよかったよ…おっと!
ちょっとごめん。」

突然、雪乃の携帯が鳴り出して、
雪乃は少し離れたところに電話しに行ってしまう。


「で、さっき…から、黙ってないで、
おろして、くれない、かな?」


色んな人が見てる気がするし、
先生に全体重預けてるって思うと、
無駄に緊張する。

そもそも、こんな体制だから、
木登りして落ちたときから、
息切れが止まらない…

………

だから、なんで黙ってるわけ?

そう思って睨み付けようと、
先生の顔を見ると、

「え?先生?どしたの?」

とても必死な顔をしてる。
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