わがまま即興曲。
「彩音ーごめんー
家から電話で、帰らなきゃいけなくなったー…」

薬を飲んで、ちょっとすると
雪乃が戻ってきて、そう、謝ってきた。

え?今から花火なのに?って思ったけど
家の人に呼ばれているんじゃしょうがない。
家族に逆らえない気持ちは
私にはわかりすぎるくらいわかってしまう。

「家からの呼び出しなら仕方ないよ。
気にすんな!」

「本当にごめんね………って、
むしろ、都合良かったり?」

雪乃の視線が、
私の手首を握ってる先生の手に降り注がれた。

「あ!これは、ちがくて!えっと…」

雪乃に心配かけたくないし、
何て言おう…

「今度、詳しく聞かせてね!じゃ!」

私が悩んでいると、
雪乃は誤解したまま、急いで去っていく。

体のことを雪乃に知られなくて済んで、
少しホッとした面もあったけど…

でも、雪乃が帰ったとなると、
本格的に先生と二人きり。

脈を測るためとは言え、
先生と触れていると思うと
手首が熱い…
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