わがまま即興曲。
「脈は正常に戻ったみたいだけど、
大丈夫?」

黙っている私が心配なのか、
先生は私を覗きこむようにそう聞く。

「あ、うん。平気。」

あんまり平気ではない。
先生の顔が近いから。

「帰るなら、送るけど…」

「あと少しだけ、休みたい。」

「わかりました。」

花火が見たいからここにいたい。って言ったら、絶対にだめって言われるから、
休みたいということにしておく。

先生と花火…見るのか…

たしかに落ち着いたけれども、

緊張は相変わらずで、
心臓というより、この胸のドキドキは、
木登りじゃなくて、
先生が原因ということで良いのでは?

って、え?
なんで?

先生だよ?
なんで、先生にドキドキしてんの?

もしかして、これが白衣性なんたらとかいうあれか?

いや、先生、今、白衣着てないし…

なんなの?
本当に…
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