わがまま即興曲。
「なるほどねぇ…そんなことが。そりゃ空蝉も怒るわ。」

昨日の出来事を話したら北川先生にそう返された。

「やっぱり僕が悪いのでしょうか?」

「まあ、医者としては何も間違ってないわよ。医者としてはね。」

進本さんと同じことを言われる。

何なんだ…ほんとに。

「あの…僕は…医者です。だから、医者として間違えていなければ…」

「ほんとにそう思ってる?」

僕の意見を伝えようとしたら、途中で遮られてそう聞かれた。

「…当たり前です。」

主治医なんだから。


「ふーん。じゃあさ、もし、もしも…」


嫌な予感がした。

なにかとてつもなく重いことを聞かれる気がした。


そして、その予感は的中した。

「彩音ちゃんにもしものことがあったら
どうする?」
< 260 / 288 >

この作品をシェア

pagetop